2019.04.20

【寄稿】MBA取得記 〜MBA入学編〜

はじめに

名古屋掖済会病院の安藤裕貴先生がMBA(Master of Business Administration:経営学修士)についての体験談を寄稿いただきました。
MBA受験に至るまで、社会人大学院の苦労、MBA取得の利点など、たくさんの情報が詰まっています。
ぜひご一読ください。

EMA Directors AcademyとMBA取得記

EMAでは部門長のためのコースとしてDirectors Academyが毎年開かれますが、その参加を迷っている方もあるかと思い
「MBA取得記」と題しまして寄稿させていただきます。
みなさまのご参考になればと思います。

後期研修が始まったばかりの若い先生がたには
「部門長になる」というのは馴染みがない
あるいは考えたこともないかもしれません。

ERの業界構造を俯瞰的に見てみますと
日本で北米型ERを花開かせたのは約30年前
福井で寺澤秀一先生が最初だったかと記憶しています。

米国はEmergency Medicineが今年50周年ということですから
米国から遅れること20年になります。https://www.acep.org/50Years/

それから徐々に国内で北米型ERが広がって現在に至りますが
その担い手は当初、現在50−60代の先生がたが中心でした。
みなさんがよくご存知の伝説的な先生方ばかりです。

しかし伝説的な先生方も仲間集めがうまくいきはじめたのは
ここ10−15年ほどの話になります。
ちょうどEM Allicanceの黎明期ごろに当てはまります。

じつはここに世代間ギャップが起きているのが
日本のER業界の現状です。

伝説的な先生方と、10−15年目付近のあいだには
ほとんど人材がいないのです。

そのためか、比較的若手の10−15年目の先生がたが
すでに部門長や責任者となっているERも多数あります。
10年目というと、後期研修が終わり救急科専門医取得が
最短で卒後7年目ですから、そのすぐ後ということになります。

そうなのです!後期研修を始めた先生方は
すでに部門長として、リーダーとしての能力を培うことを
念頭に置いて活動を始めなければ
いつの間にか部門長になってしまうことがあるのがこの業界なのです。

かくいう私も当院救急科の医局長の指名を受けたのが卒後8年目のことでした。

部門長というほどではありませんが、現場のリーダーとしてやっていかねばなりません。
医局の運営など考えたこともありませんでした。
これからの将来を見据えても、しっかりトレーニングをせねばなりませんが
そのような情報はどこにもありませんでした。

将来に悩みつつ、日本のERもなんとか盛り上げたい
ER医の価値を高めたい、などと考えて
いろいろな情報をあさっているうちにたどり着いたのが
MBAという学位の存在でした

MBAとはMaster of Business Administrationの略で
日本語にすると経営学修士のことです。
ビジネススクール(経営学大学院)に通うことで取得できます。

外資系企業や欧米の企業ではMBAを持っていないと
部門長になれないことが多いほど、その教育内容が社会に重用視されています。

現在大学院は2年目の終わりとなり
修士論文に当たるcase writingと格闘しながら
単位の調整をしつつ卒業を控えています。

EMA Directors Academyでは
そのMBAホルダーから部門長として必要なエッセンスを学ぶことができる内容になっていて
私自身も昨年参加して、大学院で学んでいる内容と同じで
ぜひ多くのER医に学んで欲しいと感じました。

下記をご参照ください。
http://www.emalliance.org/event/fd/directors-academy

ビジネススクールに通うには

安藤はMBA取得のためにビジネススクールに通っております。
どうやら単位も足りていそうで
修士論文にあたるcase writingも無事提出できたため
うまくいけば3月には卒業となり
MBAホルダーとなります。

さて前回の寄稿ではER型救急の分野では
比較的若手が突然部門長になることがあり
部門長にとって有用なことがMBAでは全て学べるということを述べました。

具体的にどのようなことを学んでいて
診療や部門運営にどのように役にたつのかは
とても面白い内容ですので、徐々に明らかにしたいと思いますが
EMAのDirectors Academyではそのエッセンスが学べます。
興味と必要に差し迫った方はぜひご受講ください。

さて、勤務もしているのにどうやって
ビジネススクール(=経営大学院)に通っているのか?
と不思議に思われる方も多いかもしれません。

ビジネススクールは、社会人大学院の1つとも言われ
企業や会社に勤めながらMBA取得を目指します。
そのため開講している授業は平日型と土日型に別れます。

土日だけ開講しているビジネススクールもありますし
平日だけ開講しているビジネススクールもあります。
両方を開講しているところはまだ少ないようです。

私は救急の勤務を続けながら
MBA取得を目指したかったため
土日だけ開講しているところを選びました。

日本で土日開講型のビジネススクール一覧

http://careersupli.jp/career/graduateschool/

授業があるときの土日の勤務だけを
掖済会病院救急科の仲間に協力してもらいました。

私の通っているところでは
土日の授業は朝9:20から17:00ごろまであり
2週間で1つの講義単位となっています。

授業の予習は平日のあいだに済ませなければなりませんが
なにぶん全く知らない業界に首を突っ込みましたので
使われている用語や考え方が最初は全くついていけず
教科書に書かれていることもチンプンカンプン!

本当にやっていけるのか不安で
予習も毎日夜中遅くまでやっても
理解がすすまず、読むべき資料(Case)も
1Caseが30ページほどの文章量。

1Case読むだけで最初は3〜4時間かかり
指定された課題(Assignment)を終えるのに更に数時間
(1Caseに10時間以上かかったことも)

それが土曜日の講義に間に合わせるだけで2〜3Case、
日曜日の分の予習まで終わらせようとすると・・・
毎日の勤務が終わって、自宅に帰りCaseと格闘する前に
子どもの相手をして、寝かしつけて、といった状態で
なかなかCaseにたどり着けず。。。

今思えば、よくやっていたなと思える日々でした。

これを読むだけでビジネススクールに通うのを躊躇してしまいそうですが、
それだけの予習を上回る講義内容とディスカッションの深さ
応用範囲の広さには毎回唸らずにいられないものがあります。

というのもビジネススクールに通っている人たちは
大手の企業で、これから管理職になるような有望株です。
当然ながら自社の課題や不満を大きく抱えて
その糸口になればと必死の思いで来ているため
参加している受講生のモチベーションがものすごく高いのです。

教えている教員も私の通っているところでは原則実務経験者のみで、
かつて孫正義と会社を立ち上げた実業家や
超大手金融機関のトップアナリスト(というか世界1位の人)、
世界的投資会社のトッププレイヤー、アジア開発の有力者(まだ若いのに)、
などなど、実務経験を活かしたポイントから世界の裏事情まで教えてもらえ
話を聞くだけでも楽しいのです。

ビジネススクールの選び方

ビジネススクールの選びかた(個人差あり)です。

EMAの中にはすでにビジネススクールに通っている方も何名かあるようです。
どこのビジネススクールに通うかは、実は悩ましいところがありますので
これからMBA取得を検討したい方の参考になればと思います。

<国際認証か国内のみの認証か>
MBAは日本では経営学修士となりますが
これは文部科学省が認定した修士となります。
一方世界ではMBAの国際的な認証機関があり、
同じビジネススクールを卒業しても、国際認証のあるMBAか
国内のみで通用するMBAかに別れます。

国際認証機関は3つあり
米国系のAACSB
英国系で世界のビジネススクールの2%しか認証されないAMBA
欧州系のEQUISがあります。

日本国内で国際認証のMBAを取得できるのは
現時点で3校しかありません。

AACSB:慶応大学、立命館大学、名古屋商科大学
AMBA:名古屋商科大学
EQUIS:慶応大学

それ以外のビジネススクールは、国内認証のみのMBAのとなります。

<ビジネススクールのランク>
あまり知られていないことですが、ビジネススクールは世界中にありランク付けされています。
最も地名度の高いのはEduniversalというフランスのコンサルティング会社の主催するものです。

国内でもいくつかのビジネススクールがランクインしています。(毎年変動があります)

http://www.eduniversal-ranking.com/business-school-university-ranking-in-japan.html

Exective MBA&MBA in part timeランキング

http://www.best-masters.com/ranking-master-in-japan/master-executive-mba.html

MBA full timeランキング

http://www.best-masters.com/ranking-master-in-japan/master-mba-full-time.html

<場所>
自分の住んでいるところから学べるのか、というのは
非常に重要な要件になるかと思います。
ビジネススクールによっては、各都市で受講できるようになっていたり
海外ではオンラインで取得できるMBAもあります。

<費用>
学校によって様々ですが
150万ー400万円の範囲内にあります。

海外ですと400−800万円と言われます。

文部科学省の職業実践力育成プログラムに認定されたプログラムであれば
最大112万円の支給を受けることができます。

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/bp/index.htm

どの要素を重視するかは個人差があるかと思います。
どこで学ぶかも大切ですが、何を学ぶかはもっと大切です。

ビジネススクールの授業風景

今回はビジネススクールの授業風景についてです。

<集まっている学生>
ビジネススクールに通ってMBAを取得しようとする学生は
平均年齢38歳前後で、ビジネスでの職務経験が5年以上の人ばかりです。

分野は医療系や工業系、IT通信系や電機メーカーなどの大手に勤める人の他に
ベンチャー企業、銀行金融系、会計士事務所の会計士、行政関係(防衛省職員)などなど
多様な領域の人が集まってきています。

トヨタや三菱重工などはご当地ですし
その他にもIKEAやリクルート、Amazon、TSUTAYAなど
聞いたことある!と思わず名刺だけでも交換したくなる人もいます。

聞いたことない!というときも
実はその業界では超有名な企業だったりして後でビビります。

医療系が多いのは、ほとんどは製薬会社のMRさんです。
製薬業界は外資系が多くなってきており、
外資系企業ではMBAを持っていないと昇進はおろか
東京の本社に勤めることはできないのだと聞きました。

医師は学年に1〜2人くらいで、まだまだ少ないですが
看護師や検査技師、臨床工学士さんには出会ったことがあります。

<授業で取り扱うケースとは>
ビジネススクールでの授業では「ケース」を扱うものと、そうでないものに別れます。
私の通っているビジネススクールでは全ての授業が「ケース」をもとに行われます。
(徹底的にハーバードビジネススクールの真似をしているのだそうです。講義室の作りとかもミリ単位で)

「ケース」には、とある企業が、ある難題に出くわした前後のことが事細かく書かれてあります。
中には企業の収支を示す財務諸表と呼ばれるものや
内部事情の裏側まで取材されたものもあり
1ケースでA4サイズにして25〜40ページあります。

そのケース内での時点で、クエスチョンが設定され
ケースを読み込んで分析し、合理的な解答を予習段階で作成しなければなりません。
そこまでやっていなければ、授業に参加しても発言することができません。

そうやって予習をやりこんだ人たちが
授業に集まってくるわけです。

それぞれの業界の立場によって捉え方や考え方
メインに立てる戦略が変わってきて
中には、そのケースの登場企業の現職員で
内部事情を教えてくれるなど情報提供もあったりします。

<授業の進み方>
授業は基本的に学生の発言で進んでいきます。
教授が発言を上手にリードしていきますが
それが可能なのは非常に悩ましい状態の
クエスチョンに対して反対賛成どちらのサイドに立っても
長短あることが多いためです。

そのため、たいていの場合、集約された意見は2極化あるいは3極化します。

発言するにも理論立てて説明するには、相当な予習が必要になります。

教授の提示する解答は、受講生の意見をさらに上回る視点のものが多く
毎回あまりにものレベルの差にため息が出ます。

2週間、土日合計4日間1コマの授業が終わると
疲労感とともに感動からか、毎回拍手で授業が終わります。
お互いの努力と授業への貢献を称える意味もあります。

成績評価

ビジネススクールの成績評価についてです。
※内容は安藤が知っている名古屋商科大学大学院でのものであることをご承知おきください。

<成績判定法>
成績がどのように評価されるかが分かると
ビジネススクールの厳しさと質の高さが分かるかと思います。

成績の50〜80%は授業への貢献度で決まります。
授業への貢献度とは、端的に言えば
どんな発言をしたか、その発言が授業の流れを決めたか
ということになります。

学生の発言で授業が進んでいくことを前回述べましたが
その発言が成績判定に大きく影響するとなれば
学生も必死で発言します。

教授の問いかけにクラス全員が挙手すると
多少の陽圧風が起きることもあります。

授業の流れを決定づけるような発言をするには
それだけ深い予習が必要です。

基本的にケース外のこと(ケースに書いていないこと)
で議論を進めないルールとなっていますので
全員が同じ土俵に立つことになります。

その中でpros & consを戦わせることになります。

授業をリードしたい学生は
いかに自分の意見(意思決定)の妥当性が高いかを
論理的に説明し会場を納得させなければなりません。

ケースに設定されているクエスチョンは
いろいろな要素が絡んだものばかりですから
必ず対立意見が発生するように作られています。

そのため対立意見を取り上げ、深めていくこと(深掘りという)で
議論が進んでいくことになります。

その議論の行き着くところや、その先にある考えを
ケースを通して学んでいくのです。

<コールド・コール!>
授業の開始にはときどき
コールド・コールというのがあります。

教授に指名を受けた人が
ケースの概要と自分の意見を5〜10分ほどで
つらつらと述べなければなりません。

上手に説明できると大きな加点になりますが
うまくいかないと大きな減点になります。

ハイリスク・ハイリターンの世界が授業開始に設定されていますが
毎回授業の開始は心臓ドキドキなのです。

<30%が落ちる成績判定>
成績判定の残りの要素はレポート提出や
授業内のプレゼンテーションです。

筆記試験はほとんどありません。
私が経験した筆記試験は投資の価値を予測する計算(NPV)ぐらいでした。
NPVは、たとえばエコーをERに購入したい時に
それは現時点で購入すると将来的にプラスになるのか
マイナスになるのかを計算する方法です。

エコーを入れるのは意味のあることなのか、ないことなのかは
診療内容との関係性もありますが、計算で求めることも可能です。

<3割が落ちる成績評価>
判定された成績はA~Fで評価を受けます。
Fは不可、単位を落とします。

この判定方法はGPA(Grade Point Average)と呼ばれています。
履修した科目はA~Fで判定され、それぞれに
A(+4)、B(+3)、C(+2)、D(+1)、F(0)と
ポイントが付与されます。
※Eの扱いは授業への出席率が低いなど大学によって様々に判定されます。

履修した科目のすべての平均値が卒業に必要な最終評価として用いられます。

それぞれの授業の成績はすべて相対評価となっていて
Aが数%、Bが約10%などと最初から決まっています。
Fは30%となっており、3割の人が懸命に発言しても単位を落とします。

卒業に必要な単位も必修科目はすべてA~Cの判定でなければなりません。

非常にシビアな判定をされることから
入学時からの脱落者もあります。

そのため授業を受けるといっても、最初から競争です。
同級生は同士ではなく敵です。
これは最初からお互いに意識付けされます。

生存競争の厳しい社会を反映しているのだそうですが
成績評価の厳しさはMBAの質の高さを保つのに重要なのかもしれません。

もちろん一緒に戦い抜けた同級生は戦友であり
お互いを高い次元の議論にもっていかせた
大切な仲間となっていきます。

MBA取得の理由とは?

さて、今回はどんな授業が開講しているのについてと予告しましたが、
その前に、授業に挑む私自身の覚悟と決意があったことを
少しだけ述べさせていただきます。

といいますのも、授業で紹介する内容を
私がどのように分析して応用しようとしているかは、
その目的が分からなければ、読んでも理解できない恐れがあるからです。

安藤が何を考えてMBAを取得しようとしたのか
少し詳しく述べさせてください。

モノローグで申し訳ないのですが
内心をさらすのは気恥ずかしいものです。
どうか飛ばし読みをせず応援いただけると幸いです。

<海外留学の道>
実は安藤は海外留学の道をずっと考えておりました。
EMAでも先輩たちや同僚・後輩たちが北米などに渡って
学んでいることを見聞きすると、羨ましい気持ちがありました。

師匠である福井大学の寺澤秀一先生からも
海外で学んでみないかというご提案をいただいたこともありました。

私自身には日本の救急医療の現状や研修医教育を見るにつけ
なんとかこの現状を変えたいという思いが常々あります。

仕組みがうまくいっていないために、最終的に困っているのは患者さんで
その不利益を受けているのも患者さんになります。
EMAのみなさんも同じ思いがあるのではないかと思っています。

おそらく海外で学べることは
知識やシステムの理解だけでなく
日本にはない文化や制度、多様性から、
それに応じた対策が最新の知見として学べることだと想像していました。

しかし、実際にそれらのことを学びにいったとして
どれだけの年月が最適なのか?というのは分かりませんでした。
システムや制度は時代によって移り変わっていくものです。
次々に変化していくものを学んでいては
日本に帰ってくることができません。

場合によっては日本に持ち帰るのも、その時点のものでしかありません。

いまの自分では海外へ出たとしても
そのバックグラウンドにある根本的な考え方が分からず
枝葉末節なところにばかり目が行ってしまい
それを最新の知見だと理解して
無理やり日本のルールに当てはめようとしてしまうのではないか
という恐れがありました。

枝葉末節な部分は、背景やそれが生み出された考え方が分からなければ
次々に変わっていきますし、それぞれの土地や文化に適合する形に
変化させて使うことができません。

MBAは北米発症のものです。
経営学的な視点から、その背景にある考え方が学べるのではないか?
あえて医学とは違う分野に飛び込んでみて
その視点を学ぶだけでも意義は大きいのではないか?と
調べていて感じたのでした。

<現場への落とし込み>
もう一つの理由は経営学的視点の現場への落とし込みです。

MBAのことを勉強するにつけ分かってくるのは
日本の企業には経営やマネジメントという考えが
ほとんどないということです。

これは病院組織においても全く当てはまります。

みなさんの病院にはリーダーシップの欠如した病院長や部門長、
マネジメントがなく惰性や周りの雰囲気を読んで
ただ働いているだけの人はいないでしょうか。

診療報酬の改定にビクビクして
医療の本質を見失ってしまい
患者や職員の気持ちや利益を無視した
経営を行っている医療者はいないでしょうか。

自分のやりたい医療を振りかざして
患者や家族、スタッフの気持ちを考えない
言動を繰り返している人はいないでしょうか。

ただ闇雲に長時間働きつづけて
思考を停止させ、効率化の検討をせず
あげくのはてに周囲にもそれを強要し
全体がエネルギーを失っていることにさえ
気づいていない部署はないでしょうか。

残念ながら私が知っている
これまでの病院や組織というものには
マネジメントという言葉がほとんど存在しませんでした。

職員みんなが高い意識をもって
やる気にみなぎっているという組織にも
遭遇したことがありません。

「ここは日本だから」「ここは病院だから」
「ここは医局があるから」という言葉で
片付けられてよいのでしょうか。

そういった疑問がふつふつと湧いて出て来るのです。

MBAで学べることは、そういった疑問に全て解決の道を与えてくれます。
多くの場合、回答法が示されているのではなく、
自分で分析して考え最適な方法を生み出すというものですが、
現場へうまく落とし込みができれば
ERや病院で働く人たちの環境を改善できる可能性があると感じました。

<寺澤流の翻訳>
最後の理由は寺澤流の翻訳です。

福井大学の寺澤秀一先生の講義を受けたことがある人は分かるかと思いますが
あの素晴らしい講義はなかなか真似できるものではありません。

スライドをいただいて他人に話しても
あんなに魅力的に話ができないのです。

魅力的と感じるのは感覚の問題だと思いますが
寺澤先生の真似でもできれば
ER型救急やジェネラリストが活躍できる場を
もっと広げられるのではないかと思っています。

その感覚的な部分で自分が理解しているところを
言語化したいという思いがありました。

言語化するには、他人に分かりやすく説明できなければなりません。
そのためには自分自身には言葉が不足していると感じました。

MBAを取得していく過程で、
フレームワークというものを習い修得していきます。
ビジネスの世界でよく使われる分析のためのツールのことです。

MBA取得者はアナリスト(分析家)になる人もあります。
それだけの分析能力を培えるということです。

クラスでディスカッションを重ねることで
異業種の人たちから多様な考えを学ぶことができます。
それぞれの人へどう届けるかということを考えるようになります。
(それがどこまでできたかは不明ですが…)

私が大学院に入る前に考えていたのは上記の3点です。

MBAを取得したからなんだ?と言われたら
実は明確な答えはありませんが、
何を問題意識として物事に取り組むかで
得られるものは変わってくると思います。

私の覚悟と決意がどうなっていくのかは
これからの私を見ていただければと思います。

続きは 〜授業編〜 へ