2019.05.17

東京都立小児総合医療センター 救命救急科

都立小児ERの萩原です。
当院は、日本では数少ない北米型の小児ERを展開しています。小児ERに興味のある先生は、ぜひとも一緒に働いて未来あるこどもたちのためにその能力を発揮していただければと思っています。

【当科の特徴】

東京都立小児総合医療センターは、東京都府中市にある小児専門病院です(東京とは言っても多摩地区のため緑の多い非常に暮らしやすい土地です)。
小児専門病院ですので、単なる小児科というわけではなく、一般的な総合病院のように循環器科や呼吸器科などといったさらなる専門科に分かれています。そのうちのひとつの専門科として、救命救急科も存在します。

簡単な当科の特徴は以下の通りです。

1.国内で珍しい小児専門ER
2.ER業務、搬送医療が主なフィールド
3.救急受診数:約38,000件/年(うち、救急車 約3,400件/年)
4.外傷の割合は約20%(縫合 約1000件/年、 骨折 約500件/年)
5.ERでの小児の緊急気管挿管:50-60件/年
6.緊急迎え搬送:120-150件/年
7.ERでのProcedural Sedation:200件/年

興味がある方のために、もう少し詳細な特徴を列挙します。

・病棟管理は基本的に総合診療科・集中治療科などが担当します
・しかし、Observation Unit(経過観察病棟)があり、数時間から1泊入院の場合には救急主科で入院可能(入院継続の場合には他科へ転科)
・外傷のフォローアップ外来あり(熱傷や創傷の治癒過程を含めて学ぶことが可能であり、かつ、院内の整形外科や形成外科への紹介も可能)
・簡単な骨折整復などはエコーなどを用いて救急科の医師が実施(もちろん、整形外科バックアップはあり)
・小児科医はたくさんいるので、小児科的な相談はいつでもいくらでも可能
・さらに、小児外科、整形外科、脳神経外科、形成外科、泌尿器科などなど外科系の他専門科の協力体制も抜群
・多摩地区を中心とした小児重症症例の集約化の手段として、緊急迎え搬送(施設間搬送)を積極的に実施。また、気道外科など当院での特殊な治療を必要とする児の搬送のため、自衛隊や民間の航空機搬送も担当。
・月2回の勉強会を開催。知識だけでなく、哲学を学ぶことも目的としている。集中治療科との合同カンファレンスや隣接する都立多摩総合医療センターとの外傷カンファレンスなども定期開催を行い、小児ER診療のスキルアップを目指している
・重症度は成人の1/10なので、圧倒的に軽症が多数。よって、重症だけを診療したい人には不向き。圧倒的多数の軽症から重症を見つけ出す、軽症患者と同時に重症患者を診療するマルチタスク、これでもかという種類のマイナーエマージェンシーといったERの特性をより凝縮した環境。
・根拠のある小児ER診療の確立のため、臨床研究が盛ん。科内にも臨床研究に長けたメンバーがいますが、院内に臨床研究支援センターもあるため、非常に恵まれた環境。
・科の男性スタッフは育児に積極的なので、子育ての諸々のトラブルもよく理解していて臨機応変に対応可能(急な発熱での勤務交代など)
・やっぱり、こどもはかわいい、などなど。

ざっくり言うと、日本にいながら北米の小児救急専門医フェローシップに似た経験が可能となります(重症外傷の割合は北米よりどうしても少ないです)。

救急医をやっていても、なかなか小児の経験をする機会は少ないかもしれません。
ショックの分類に、Ductal Shockなんて考えたこともないと思います(僕はここに勤務するまで知りませんでした)。

救急医となったが「R15指定」に不安がある方、日本の小児救急医のパイオニアとして未来を切り開こうと思っている方など、当院での働く機会を考えてみませんか。

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【センター概要】

・名称:東京都立小児総合医療センター 救命・集中治療部 救命救急科
・所在地:〒183-8561 東京都府中市武蔵台2-8-29
・病院Webサイト:http://www.byouin.metro.tokyo.jp/shouni/
・救命救急科Facebook:https://www.facebook.com/pediatric.er/

【勤務体制】

・原則、シフト勤務としています。
・ERの患者受診データから受診者数が増加する時間帯に勤務者を多く配置しています。
・早出勤帯:6時台~15時台、日勤帯:8時台~17時台、中勤帯:13時台~22時台、夜勤帯:22時台~6時台というように時間帯を細かく分けています。
・受診者数が多いのは「中勤帯」になるため、短期研修の先生は中勤帯がメインの勤務帯となり、多くの診療経験を積んでもらいます。
・24時間365日、救命救急科のスタッフ医師1人~2人はERに常駐します。

【年間救急車搬送件数&救急受診総数】

救急受診総数:約38,000件/年(うち、救急車 約3,400件/年)

【ICUや独自ベッドの有無】

・集中治療管理が必要な患者は、集中治療科が担当し、PICU/HCUへ入院します。
・ただし、Observational Unit(経過観察病棟)を有しており、数時間から1泊入院が予測される患者は救命救急科で入院させることが可能です(例:脳震盪、鎮静後の覚醒確認、クループなど)。

【連絡先】

常時、受け付けています(ホームページ経由でもOK、Facebook経由でもOK、当科メンバーの名刺経由でもOK、どこからでも所定の手続きへ繋げます)
病院Webサイト:http://www.byouin.metro.tokyo.jp/shouni/section/kyuumei.html
救命救急科Facebook:https://www.facebook.com/pediatric.er/

専攻医研修(後期研修)中でも、救急科専門医取得後でも、それぞれの立場に合わせてポジションや研修期間を検討しますので、まずは御連絡ください(もちろん、小児科出身者も大歓迎です)。

なお、当院は日本救急医学会「救急科専門医指定施設」の認定を受けていますので、(新専門医制度が気になるところではありますが)現行制度が並行されるなかで救急科専門医を取得することが可能です。また、新制度によるプログラム事前登録制においては多くの基幹病院と連携しているため、こちらも御相談に乗ることが可能です。