2019.11.15

第4回「観察研究」

【登場人物】
・G先生:初期研修医2年目(救急部研修中)
・M先生:ER後期研修医1年目
・Y先生:ER指導医

今日は新年を迎えてバタバタしている救急外来。救急車や交通外傷も立て込み、G先生・M先生共に慌ただしく診察しています。

G「やっぱり年明け早々は忙しいなあ。みんなこんな新年早々来なくてもいいのに…。」
M「G先生、そっちの発熱おばあちゃんは大丈夫そう?」
G「あ、多分尿路感染です!!」
M「OK。でも尿路感染の診断は意外に難しいよ?とくに閉塞が無いかだけは確認しておいてね!」
G「分かりました!(そういや閉塞性腎盂腎炎はemergencyって言ってたっけ。忘れるとこだった)。じゃ、エコー、エコーっと。・・・水腎はなさそうかな。CVA叩打痛と尿中に白血球もあるし、グラム染色でも腸内細菌様のGNRが見えるし、熱の原因はこれっしょ!」

…………………………

M「先生、結局尿路感染だった?」
G「間違いないです。たぶん。」
M「慢性の膀胱炎とかがベースにあって、実は胆嚢炎や肺炎だった、なんて事もあるから気をつけてね。で、閉塞は無かったの?」
G「無かったですよー、エコーで見える範囲では。あと他に熱源になりそうな所は無かったです。」
M「じゃやっぱり腎盂腎炎かな?治療開始&コンサルトしておいてね。」
G「・・・M先生、ところで腎盂腎炎だったとして、閉塞機転以外に注意して見る事ってないんですか?閉塞機転の有無ついでに調べた方が早くて良いですよね。」
M「え?(やべ、分かんないなぁ) ん、まぁ色々あるけど、折角ジャーナルクラブやってるんだし、一度先生自分で調べてみなよ。」
G「あ、んじゃこれジャーナルクラブのテーマに使えますかね。調べてみます。」
M「(あぶね。俺も調べとこ…)」

【今回のテーマ】The role of emergency ultrasound for evaluating acute pyelonephritis in the ED.Am J Emerg Med 2011; 29, 721–724

Journal Club

Y「みんな、あけましておめでとう。journal clubも第3回だね。さて、今回はだれだっけ?」
G「明けましておめでとうございます。今回はちょっと調べたい事があったんで僕がやる事になりました。」
Y「おお~、珍しくやる気じゃない。どうしたの?新しい彼女でもできた?」
G「ちょっと先生、なんでいつも女絡みなんですか…。年も明けましたし、頑張りますよ!」
M「いつも『あの看護師さん可愛いですよね~♪』とか言ってるからでしょ。で、論文は?」
G「(M先生も言ってるくせに…)。論文はこれです。救急外来で腎盂腎炎をエコーで評価する時に、閉塞だけでなくもっと色々評価できたらいいなと思って。」
M「American Journal of Emergency Medicineからかぁ。どうやって探したの?」
G「Pubmedで“pyelonephritis ultrasound emergency”って入れたら、上から何番目かに出てきました。いいジャーナルかどうか分かりませんが、内容が合ってそうだったので(・・・あと内容が3ページ半しかなくて楽そうだったからなんだけど)。でも検索して引っかかってもそれをどうやって手に入れるか分からなかったので、近くにいた先生にお願いしました。」
Y「なるほど。新しい論文を探すにはpubmedは手っ取り早いかな。Limitをうまく使えるともっと検索が楽になると思うから、ぜひ使ってみて。言語を英語にしたり、core clinical journalのみ検索対象にしたりすると楽だよ。マイナーな論文は丁寧に探すしかないけど。実際に論文を手に入れる場合は、大学なら図書館職員さんに「こういうジャーナルを探しているんですがありますか?」って聞くのが早いかもね。」
G「分かりましたー。色々手に入れ方があるんですね。」
G「ところで、今回は頑張って読んできたつもりですが、なんかどう読めばいいか分からなかったです。今までの方法があまり当てはまらなくて…。」
Y「ああ、確かにこういった観察研究はPICOも使いづらいし難しいね。じゃあ、観察研究の論文を見る時にチェックする項目を教えるよ。詳細は長谷川先生達が2011年11月号のpodcastで紹介しているから是非とも参考にしてね。」
M「podcast聞きましたよ!4W1Hを切り口にするってやつですね。」

・Whenいつ行われたか?時間帯は?
・Whereどこの国か?どんな病院か?救急外来か?
・Whoどんな患者群か?誰がデータを採取・評価したか?誰がデータを解析したか?
・What何を研究したか?何をアウトカムとしたか?何を項目としたか?
・Howどのように?前向きにデータを集めたか?どのように解析したか?

G「すいません、まだpodcast聞いて無くて…。こういう切り口があるんですね。じゃあ、これに沿って発表してみます。」

問1

When/Whereの評価をして下さい。

問2

Whoの評価をして下さい。

問3

Whatの評価をして下さい。

問4

Howの評価をして下さい。

問5

結果的に外的妥当性はどうでしょうか?

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