2020.01.17

[解説] 心電図8:1月心電図 52歳男性 - 呼吸困難。非小細胞性肺癌の既往あり。

さすがみなさん!

ご名答です。いつも正解ばっかりで凄いっす。

そう、この患者さんは心膜炎です。じつは肺がんに対して放射線療法も受けていて、3日間続く呼吸困難、そして血圧低下で救急来院。心電図をもう一度。

PC

みなさんご指摘の通り、aVR, V1以外の全般的なST上昇 (心膜炎は局所的なものは少なく、全般的に心外膜に炎症を起こし、隣接する心筋に炎症を波及させますからね)、ミラーとしてaVRでST低下ですね。ReciprocalなST低下はAMIに特異的ですが、心膜炎ではaVRとV1でのST低下が起こりえます。でもこんな心電図みるとけっこうドキッとしますよね。

まめ知識では、ST上昇 II >IIIは心膜炎を示唆します。逆にIIIのST上昇がIIより大きい場合はAMIに要注意!

それから下壁誘導でのPR低下(一時的な変化ですが)はかなり心膜炎に特異的。aVRもPRが上昇していますね(これはAMIでもおきうる)。PR低下は主にViral pericariditisで起きるというのが教科書的ですが、なぜかこの患者さんではPR低下してますね。

この患者さん、心エコーでは中程度量の心のう液、右心室の陥凹ありで、低血圧。臨床的にはタンポナーデですね。心のう液は穿刺するほどの量ではないので、大量輸液で前負荷、右心房圧の確保。cardiologyに入院してドレナージを入れてもらいました。

臨床って面白い!