2020.01.17

[解説] 心電図4:6月心電図 19歳男性 - シャワー中に失神。皆さん御存知。

皆さんご名答です。さすがEMAメンバー!

そう、診断はBrugada型心電図。さらにいえばSaddle back型のtype IIですね。

オレゴン先生のおっしゃる通り、失神の心電図を見たら以下を探しましょう:


①虚血
②ポンプ:肥大型心筋症
③リズム:Long QT, Brugada, ARVC, WPW、ですね。

Brugada症候群

背景:1992年にスペインのブルガダ3兄弟(みんな循環器内科医!)によって発見された比較的新しい症候群。多型性心室頻拍、心室細動の原因になるelectrical phenomenonということで有名。

Right bundle branch block, persistent ST segment elevation and sudden cardiac death: a distinct clinical and electrocardiographic syndrome. A multicenter report. J Amn Coll Cardiol, 1992; 20: 1391

疫学:器質的心疾患のない患者の突然死のうち20%をしめるというデータもあり。東南アジア、日本で多い遺伝疾患というデータもあり、巷で言う「ポックリ逝ってしまう」(タイではLai Tai、フィリピンではBangungutと言う)の原因の一つと疑われているんだよね。家族歴は半数ほどにあり。

心電図は特徴的で、V1-V3に右脚ブロックパターン。Type Iは盛り上がった感じで、よりコモンで、Brugada Syndに特異的。Type IIはSaddle Back型ともよばれ、らくだの背中みたい。実は同じ患者でも両者の心電図パターンを行ったり来たりすることも有名。自律神経バランスとかNaブロッカーで変わります。

診断:EPコンサルトしてEPスタディ。プロカインアミドとかのNaブロッカーで、よりST上昇したり、Covedになったりすると特異的。

治療:とにかくICD! 抗不整脈薬は役立たず。

予後:ICDをつけないと、死亡率は年10%とも言われている。

オススメReview: Anzelevitch C, et al: Brugada Syndrome: report of the second consensus conference: endorced by the Heart Rhythm Society and the European Heart Rhythm Association. Circulation 2005;111:659