2020.01.17

[解説] 心電図12:1月心電図 80歳女性 嘔吐。Afの既往ありベラパミル内服中。HR:18, BP:60/-

EMAのみなさま、

大好評シリーズ、今月の心電図シリーズ1月号の解答です。

もう一度、患者さんの復習です。

80歳女性、心房細動の既往あり。ベラパミル内服中(量に変化なし)。

嘔吐で救急車要請、現着時で脈拍18 bpm、血圧60/- mmHg。心電図はこちら。

hyperk

心電図解釈上の注意
ぱっとJunctional rhythm vs Slow A-fibが眼に飛び込んできますが、それだと他を見逃すので、

いつもどうりにシステマチックに読みます。
1. Rate: 45 bpm
2. Rhythm: はっきりとしたP波が見えません。QRSはそんなにwideではない。QTc 470ms。
3. Axis:右軸偏位
4. Hypertrophy: axisとV1のR波から右室肥大かも。でも低電位ですね。
5. Ischemia:以前の心電図がないが、明らかな異常なし。
鑑別としては、slow A-fib vs junctional rhythmといったところ。心房細動の既往、あまりregularではなさそうなのでslow a-fibか。

診断
徐脈をみたらまずはStableかUnstableかが大事(ACLSガイドラインですよね)。
次にABC, Advanced airway, アトロピン、ペースメーカー、カテコラミンを用意しながら、次の3つの鑑別を考え、治療。
1. 心筋虚血
2. 中毒:カルシウムチャネル阻害薬、ベータ遮断薬、ジギタリス、クロニジン、オピオイド、コリン作動性薬剤
3. 電解質異常:とくに高K血症
最後の電解質異常は忘れやすいので注意です。この3つなら覚えられそう!
実際、この患者さんはK 7.9でした。
高カリウム血症は、peaked T waves, ↑PR interval, wide QRS, sine wave patternが有名ですが、こんな徐脈もおこすので注意です。