2020.01.17

[解説] 心電図10:11月心電図 54歳女性 - 前失神。現在症状なし。後期研修医はLet’s try!!

EMAの皆様、

お待たせしました。今週の心電図No. 10の診断発表です!

さすがですね。いい鑑別が挙がっています。

ちょっと分かりづらい心電図で申し訳ないですが、右軸変位、前胸部のT波逆転ありますね。

それからよーく見て下さい。V1-3のQRSの終わりにギザギザ。これがエプシロン波です。

そう、診断はARVD/C (Arrhythmogenic Right Right Ventricular Dysplasia/Cardiomyopathy)!!皆さんどうでしたか。

右室を主病変とする、非虚血性心筋症ですね。致死性不整脈を起こすことで有名。半分弱は家族歴があり、有病率は1/10,000とも。一生に一回はお目にかかるでしょう。患者の80%は失神または突然死で発症と言われています。

EKG

AVRD/Cの心電図morphologyでしたら、この論文がオススメ(無料です)

Electrocardiographic Features of Arrhythmogenic Right Ventricular Dysplasia/Cardiomyopathy According to Disease Severity
(Circulation. 2004;110:1527-1534.)

ARVD/Cにおける心電図変化と感度は:V1-V3のT波逆転 (85%)、V1-V3のQRS≧110 msec (64%)、エプシロン波 (たったの33%!)などなど。このStudyではV1-3のS波のゆっくりとした立ち上がりがより感度が高いとしてますね。

さらに、こんなWebsiteもあります。ARVD.com

失神患者の心電図をみたら、徐脈や虚血性変化は勿論のこと、下の5つを除外しましょう!

1. WPW

2. Brugada

3. HOCM

4. Long QT

5. ARVT/C