2019.05.09

EMA症例93:1月症例 25歳女性 採血後の針が刺さった

2019年1月12日土曜日、3連休の初日にあなたは総合病院救急外来の日直をしている。

昼前になり、すぐ近くの開業医の先生から紹介の電話が入った。

25歳女性、同診療所の看護師。当日11時頃に針刺し事故により受傷。

1ヶ月続く発熱を主訴に受診した40代男性の採血後、採血に用いた23G翼状針の針先のセーフティ操作が不十分で、針先が左示指先端に刺さり受傷した。ニトリル手袋を装着していたが、刺さった部位には創があり少量出血もみられた。

創部はすぐに流水と石鹸を用いて十分に洗浄した。 紹介の時点で、曝露源の患者は帰宅しており、採血検体も外注先に提出済みであった。 曝露源の患者の背景疾患など不明であり、針刺し事故後対応をお願いしたいとのことであった。

同日12時頃、被曝露者である看護師が救急外来を受診した。 25歳女性、既往歴やアレルギーは特になく、妊娠や授乳もしていない。

曝露源となった患者は現在連絡がとれており、採血検査などの協力に同意は得ているが、来院は翌朝になるとのことであった。また、HIV専門医は自施設に在籍しているが院内待機ではなく、連絡を試みているが応答を得られていない。

13時頃に判明した被曝露者の看護師の検査結果は以下の通り。

HBs抗体 94.8 mIU/mL, 判定(+)  HBs抗原 <0.05 IU/mL, 判定(-)  HCV抗体定性 (-)  HIV迅速定性 (-) この時点でもまだHIV専門医には連絡がとれていない状況にある。