2019.11.14

EMA症例89:9月症例 60歳代男性 行動がおかしい

【症例】60歳代男性
【主訴】行動がおかしい
【現病歴】
3日前までは配達員の仕事をしていた
2日前からあまり眠れないと言い、仕事を休んでいた
受診当日、部屋に人がいるといい、自分で110番に電話をかけ警察を呼んだが、特に異常はなかった。
話をしても支離滅裂な様子であったため、雇用者が運転する乗用車で救急外来受診となる。
雇用者の話では、食事は少なくとも2食は勤務先で食べていたと思う、たばこは吸わないが酒好きとのことであった。

【既往歴】
詳細不明

【定期内服薬】
なし

【生活歴】
独居
雇用者が用意した住居に居住

【来院時身体所見】
やせ型 つらそうな様子
意識 GCS E4 V4 M5 体温36.9℃,血圧 125/71mmHg,脈拍 101回/分 (整),SpO2 95%(室内気) 呼吸回数 26回/分

顔面:眼球結膜充血あり 瞳孔 3/3 対光反射 迅速
頸部:項部硬直なし
胸腹部背部:明らかな異常所見なし
四肢:粗大な麻痺なし 何かをつかもうとする動きをしている

 診療開始と同時に、末梢静脈路を確保し生理食塩水の投与を開始し、原因検索のため下記の検査を実施しました。

【画像検査】
 頭部CTでは頭蓋内出血や占拠性病変認めず、脳室の拡大や脳溝の不明瞭化を認めませんでした。胸腹部単純CTでは肝腫大・脂肪肝、脾腫を認めました。

【血液検査】
WBC 8,000/μL, Hb 13.4 g/dL, Plt 13.8万/μL, Neut 80.3%,
CRP 1.54 mg/dL, BUN 19.4 mg/dL, Cr 1.21 mg/dL, CK 197 U/L, BS 129 mg/dL,
AST 100 U/L, ALT 37 U/L, ALP 342 U/L, T-bil 7.6, γGTP 511 U/L
Na 131 mEq/L, K 3.1 mEq/L, Cl 92 mEq/L

静脈血液ガス:来院時・室内気
pH 7.419, pCO2 36.4 mmHg, pO2 48.6 mmHg, HCO3 23.2 mmoL/L, BE -0.4 mmoL/L,
Lac 13 mg/dl, Na 128 mEq/L, K 2.5 mEq/L, Cl 96 mEq/L, Glu 136 mg/dL

【薬物検査】
トライエージDOA® :陰性

患者さんはベッドの上で座っていますが、そわそわと手を動かしており落ち着かない様子です。血圧 125/71 mmHg 脈拍 101回/分 (整)