2019.11.19

EMA症例69:1月症例 26歳女性 呼吸苦、意識障害

あなたはERで働く医師です。喘息重責発作の診断で他院から搬送されてくる患者の対応を任されました。

【症例】
26歳女性

【主訴】
呼吸苦、意識障害

【現病歴】
受診数ヶ月前から時折喘息発作が出現し、以前処方されていたSABAを吸入し対応していた。受診前日の日中より呼吸苦が出現。夜間に症状が増悪し、他院へ救急搬送となり、喘息発作として入院加療となる。ヒドロコルチゾン300mg x 2回とアミノフェリン250mg が投与されたが、徐々に呼吸状態が悪化。朝になり見当識障害が出現し、意思疎通困難となり当院へ転院となる。転院時(午前9時過ぎ)、メインの輸液の他にヒドロコルチゾン200mgの点滴静注が行われている。

【既往歴】
#気管支喘息
小児期に喘息発作にて一度集中治療室での治療を受けた既往あり。
#アトピー性皮膚炎

【薬歴】
メプチンエアー(プロカテロール)屯用

前医からの情報:3年前までは前医呼吸器内科を通院されシンビコート(ブデソニド/ホルモテロール)及びシングレア(モンテルカスト)が処方されていたが、その後呼吸器内科受診はされていなかった。

【アレルギー】
食物:蟹、海老、卵
薬:なし
花粉症:あり

【社会歴】
喫煙歴:20歳から現在まで1日約20本
飲酒:機会飲酒
職業:介護士

【現症】
GCS E4V2M6 不穏あり、強い努力呼吸あり
心拍数 137回/分、血圧133/72mmHg、呼吸回数33回/分、SpO2 99% リザーバーマスク10L/分

結膜:蒼白(−)、充血(−)
頚部:リンパ節触知せず
心音:整、雑音を聴取せず
胸部:吸気時、呼気時にwheeze著明、Air入りに左右差なし
四肢:浮腫(−)

ABG リザーバーマスク10L/分
pH 7.147, pCO2 86.2 mmHg, pO2 211 mmHg, HCO3- 21.9 mmol/L, BE -3.1 mmol/L, Na 137 mmol/L, 5.3 mmol/L, Cl 109 mmol/L, Glucose 174 mg/dL, Lactate 1.3 mmol/L

胸部レントゲン:

69-01

喘息重責発作の診断で本例ではアドレナリン0.3mgが皮下注され数分経過がみられるも呼吸状態に改善はみられません。