2020.01.17

EMA症例38:3月症例 36歳男性 - 発熱+ショック!? 燃えるぜー!!

(2014年3月症例)

ある冬の昼下がり、北米型救急で勤務中のあなたは救急車の入電を受けた。

「36歳の男性で来院前日からの発熱で前日あなたの病院を受診して帰宅した。今回は発熱、頭痛、悪寒が改善しないため救急車要請とのこと。BP150/100mmHg HR120回/分 RR24回/分 SpO2 94%(ルームエアーにて) BT38.2℃ 意識レベルJCS 0で、接触時は布団で仰臥位だが歩行可能。」

来院前に前日のカルテを確認したところ既往歴は統合失調症のみで、免疫抑制のリスクはなし、内服持参なく不明。自覚症状は発熱、嘔気、呼吸苦があったとのこと。身体所見上咽頭発赤軽度のみが認められ、流行時期であったためインフルエンザ疑いとして処方なしで帰宅となったようである。

喀痰なし、嘔吐・下痢なし、頻尿・残尿感・排尿時痛・膿尿なし
シックコンタクトなし
職業は自営業でエアコンのクリーニング、海外渡航歴なし、ペットなし

来院時BP94/43mmHg HR125回/分 RR23回/分 SpO2 96%(ルームエアーにて) BT40.2℃
意識レベルE4V5M6

体型:中肉中背 
顔色:やや不良 眼瞼:黄疸、貧血なし 咽頭:発赤わずかで腫脹なし う歯なし 
頸部:頸静脈怒張なし、項部硬直なし、左前頸部リンパ節に軽度圧痛あり 
胸部:呼吸音清明 心音:心雑音なし 
腹部:心窩部に軽度圧痛あり 反跳痛なし 陰部:異常なし 直腸診:前立腺圧痛なし 
背部:脊椎椎間関節に圧痛なし CVA叩打痛なし 
関節:全身の関節に発赤疼痛腫脹熱感なし 
末梢:温かい、右母趾に径1cmの圧排で消退しない赤い発疹が1つあり 

静脈血ガス結果で
pH 7.414 PCO2 29.0mmHg PO2 36.7mmHg HCO3- 18.1mmol/ℓ BE -4.8mmol/l Lac 50.0mg/dl
WBC 1500(Seg 77% Stab 8%) Hb 14.2 Hct 40.3 Plt 8.2×104 UN 36.1 Cre 2.67 AST 59 ALT 27 T.Bil 1.00 Glu 127 Na 132 K3.1 Cl 99m CRP 27.03mg/dl TropI 0.032ng/ml
その他の血液検査、胸部レントゲンにて明らかな異常を認めず

その後、大量輸液と抗生剤投与を開始するも血圧があがらずノルアドレナリンを持続投与開始となり、敗血症性ショックの疑いでICU入室となった。

翌日血圧は安定してきており、ノルアドレナリンの用量は順調に下げられた。自覚症状として両下肢の痛みを訴え、下肢の診察をした所以下の紫斑が認められた。

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