2020.01.17

EMA症例28:5月症例 78歳女性 - 喘息と肺線維症の既往がある呼吸苦。

とある北米型救急にて勤務中で忙しい中、救急隊からの入電があった。
「78歳女性 往診医が患者宅へ行くと呼吸苦を訴えており自宅居室内ベッド上でうずくまっていたため救急車コール。
他院かかりつけで喘息、肺線維症の既往がある。
普段は鼻酸素カニューレ1.5ℓであるところが3ℓに上がっていた。
BP118/62mmHg HR114回/分 RR24回/分 SpO2 79~84%鼻酸素カニューレ3ℓ BT37.8℃
意識レベルJCSⅠ-1」
かなり混雑しており自分1人と看護師1人で対応することとなった。

来院後
BP149/72mmHg HR114回/分 RR29回/分 SpO2 94%(リザーバーマスク10ℓ) BT36.0℃
意識レベルE1V1M1
全身状態:呼吸不全 発汗著明で口から喘鳴が聞こえる、咳なし 見た目は樽状胸なし

看護師はバイタルを測定しながらリザーバーを15ℓに上昇させていた
どうしても人はこれ以上集められなさそうだ・・・

聴診上は Wheeze Ⅳ度左右差なし 身体診察上心不全を疑わせる所見なし
ABG結果(SpO2 99% リザーバー15ℓ RR30回/分)
pH 7.069 PCO2 143.3mmHg PO2 310.5mmHg HCO3- 40.5mmol/ℓ BE 5.5mmol/ℓ Lac 13.9mg/dl

現在の呼吸状態でのPCO2は許容できないと判断したあなたはすぐに家族の希望を確認の上挿管をすることとした。

挿管後聴診では胃では空気の音は聞こえず肺野は非常に遠く左右差確認できない。
まずEtCO2チェッカー(呼気ガスディテクタ)で挿管されていることを確認した。
あなたはすぐに挿管後の胸部レントゲンを注文した。その間にバイタルを測定した所、
BP69/46mmHg HR118回/分 RR22回/分 SpO2 99%(バッグバルブ換気酸素15ℓ)であった。
輸液全開投与を指示しレントゲンを確認すると以下のようであった。

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