2020.07.22

EMA症例111:7月症例 70歳代 男性 農薬中毒の疑い

あなたはある救命救急センターで日勤中です。
近隣二次救急病院から農薬中毒疑いの転院搬送を受けることになりました。

【症例】70歳代 男性
【主訴】意識障害
【現病歴】
ADL自立、自宅で家族と生活している。搬送日の朝9時ごろ畑仕事に出かけて、同じ頃に妻も外出した。
14時ごろに妻が帰宅しても自宅におらず、畑で倒れていたため救急要請。救急隊接触時、JCS100。
刺激臭のあるものを嘔吐しており、「農薬を飲んだんですか?」という救急隊の質問にうなずいた。
急性薬物中毒の疑いで近医に搬送されたが、徐々に全身状態が悪化してきたため、17時ごろ転院搬送となった。

【既往歴】
特記事項なし
【内服薬】
なし
【身体所見】
GCS:1-1-4
HR 50 /min,BP 79/42 mmHg,RR 30/min,SpO2 88%(RA),BT 34.8 度
頭頸部:明らかな外傷なし、瞳孔3/3 ±/±
体幹:呼吸音全肺野にrhonchiあり
四肢:末梢冷感あり
口腔内に液体貯留あり、吸引をかけたところ次のようなものが引けた

【動脈血液ガス】
pH 7.053, pCO2 26.9, pO2 62.5, HCO3 7.1mmol/L, BE -22.6mmol/L
Lac 13.3 mmol/L, BS 114
【頭部CT】
外傷性変化なし、脳浮腫の所見なし
【胸部CT】
食道壁全体に肥厚、胃内に大量の液体貯留あり、両肺背側に軽度無気肺もしくは浸潤像あり