2020.02.07

EMA症例106:2月症例 20歳女性、痙攣で転院搬送

2020年2月症例

今回は、入院後に状態が悪化し転院搬送されてきた患者さん、というシチュエーションの症例をお示しします。

【症例】20歳女性

【主訴】意識レベル低下、痙攣

【現病歴】
 神経性やせ症の既往がある女性。

 数か月前にも精神科での入院治療を行っているが、退院してからもあまり食事はできず、自己誘発嘔吐もしていた。母曰く、1週間ほど前から衰弱が強くなり,「記憶障害がある」ように感じていた。

 転院前日には動けない状態となり、本人も同意したため精神科病院へ入院。ところが入院翌日、意識レベルが悪化し痙攣を起こしたため、精査と全身管理目的で転院依頼があり、ERで初期対応することとなった。


 紹介状によると、痙攣は顔面を中心とした小刻みな間代性痙攣であり、そのときのバイタルサインは体温36.2℃、血圧100/70mmHg、脈拍72/min(整)、SpO2 85% (room air)であったという情報です。到着時には痙攣は止まっており、マスク酸素4L/minでSpO2は100%に回復しています。

【内服歴】エンシュアリキッド(精神科病院入院前に内服していたもの)

【来院時所見】
 体温36.6℃、血圧85/62mmHg、脈拍82/min(整)、SpO2 100% (マスク酸素4L/min)、RR 14/min

 意識E3V4M5

 見た目:痩せている

 結膜:軽度貧血あり

 胸部:呼吸音清、心音整

 腹部:圧痛なし、痩せが目立つ

 四肢:指示には従わないが粗大な麻痺なし 浮腫なし 末梢は冷たい

 脳神経:明らかな眼振はないが,追視の指示には従えない

■静脈ガス:
pH 7.64, PCO2 39.8 Torr, HCO3 43.4 mmol/L, BE 19.5 mmol/L,

Hb 8.8 g/dL, Na 130 mmol/L, K 2.2 mmol/L, Cl 79 mmol/L, Anion Gap 9.3 mmol/L,

Glu 99 mg/dL,Lac 0.9 mmol/L

■血液所見:
WBC 2,900/μL, Hb 8.6 g/dL, 血小板 7.8万/μL, TP 6.2 g/dL, Alb 3.4 g/dL, CRP 0.07 mg/dL,

BUN 5.7 mg/dL, Cr 0.60 mg/dL, Ca 9.5 mg/dL, Na 131 mmol/L, K 2.2 mmol/L, Cl 79 mmol/L,

T-Bil 0.3 U/L, ALP 346 U/L, γGTP 102 U/L, AST 48 U/L, ALT 24 U/L, LDH 171 U/L, CK 62 U/L,

アミラーゼ 186 U/L

■頭部CT:特記すべき異常なし