2020.01.17

EMA症例34:11月症例解説

みなさま
遅れまして申し訳ありませんでした。11月の症例解説です。みなさまのさすがの診断力のとおり今回の症例は感染性腱鞘炎でした。回答の分布は以下のグラフを御覧ください。

graph

屈筋腱の感染性腱鞘炎の原因は、腱鞘への穿通と細菌の感染である。
診断のためにはよくしられているKanavel徴候があります。
・患指の屈曲した安静時の位置
・紡錘状の 腫脹
・屈筋腱腱鞘に沿った圧痛
・および指の他動的伸展による痛み
となります。異物を疑う場合にはX線検査をして隠れた異物を検出することが必要です。化膿性腱鞘炎では、腱鞘にそって感染が素早く広がります。炎症によって動きが制限され癒着・瘢痕へと進行する可能性があります。最悪の場合には腱の壊死、腱鞘の障害、ゆびの拘縮にいたることがあります。そのために適切なマネジメントが必要になるのです。
マネジメントは整形外科医へのコンサルト後に手術的加療が必要か?それとも抗生物質などでの保存的加療が必要かという判断になります。
今回の参加いただいたみなさんのご回答では、
整形外科コンサルトが13名 抗生物質・内服・コンサルトなしが1名
となっておりました。

一般的な治療は,外科的ドレナージと腱鞘の洗浄になります。そして培養と抗生物質にて対応します。ごく初期の場合には整形外科が保存的治療を選択することもあります。
いかがでしょうか?ぜひKanavel兆候をおぼえていただき今後の診療に活かしていただければと存じます。

参考文献
*Horseshoe abscess associated with acute carpal tunnel syndrome: somebody wake up the hand surgeon CJEM 2012;14(2):124-127
*http://emedicine.medscape.com/article/1239040-overview
*Harwood-Nuss’ Clinical Practice of Emergency Medicine