2025.01.08

EMA症例163:1月症例 70代男性 主訴:発熱,全身倦怠感

 金曜日午後の救急外来,あなたはスタッフ医師として診療にあたっています.
さきほど搬送された患者も無事に帰宅しほっと一息ついたところ,近隣開業医から患者紹介の電話が入りました.
「お忙しいところすみません,70代男性の紹介です.1週間前から発熱と全身倦怠感があり抗菌薬の内服で様子をみていたのですが,2日前に採血したところ肝酵素と炎症反応の上昇がありまして….腹腔内の炎症かなと思うのですが,救急車で送りますので精査していただけませんでしょうか?」
あなたは「わかりました.こちらで診察いたします」と応需し,研修医と看護師に発熱患者が紹介搬送されることを告げ準備にかかります.

70代男性
主訴:発熱,全身倦怠感
現病歴:X-7日より発熱,全身倦怠感がありX-6日 近医を受診,インフルエンザ抗原および新型コロナウイルス抗原は陰性であり,セフカペンピボキシルを処方され帰宅となった.X-2日 症状が改善しないため再度近医を受診し血液検査を受け帰宅した.X日 検査結果が出揃いAST 1035 U/L,ALT 366 U/L,WBC 11500/μL,CRP 27.89 mg/dLと肝酵素上昇,炎症反応上昇があることが判明し,当院へ転院搬送された.
既往歴:高血圧症
薬歴:オルメサルタン,アムロジピン
嗜好歴:40歳まで30本/日の喫煙あり,機会飲酒 

バイタルサイン:
腋窩温37.1度,心拍数90bpm,血圧 138/70mmHg,呼吸回数30/min,SpO2 94%(室内気) ,意識清明

身体所見:
眼球結膜黄染なし
咽頭発赤なし
頚部リンパ節腫脹なし
明らかな心雑音なし
両側胸部で吸気時雑音あり
腹部は平坦・軟,圧痛なし、Murphy徴候陰性、肝叩打痛なし
四肢は温かい,発赤や腫脹なし
明らかな皮疹なし