2024.03.18

EMA症例153:3月症例 80歳台 女性 主訴:全身の掻痒感

だんだんと温かくなってきた春先。あなたは、日本海側の田舎の二次救急病院で研修医1名と共に当直しているスタッフ医師です。
23時ごろ、誤嚥性肺炎や尿路感染症の症例の入院調整をしている最中にホットラインが鳴りました。
「80歳台女性、夕食後に全身の掻痒感、嘔吐があり、救急要請されました!顔面蒼白、血圧 102/56 mmHg、脈拍 120回/分です。到着まで10分です!」

年齢・性別:80歳台、女性

主訴:全身の掻痒感

現病歴:本日22時40分頃から全身の掻痒感があった。その後、悪心・嘔吐と下痢があり、23時に救急要請した。

追加情報:夕食は18時頃に子持ちカレイの煮付け、白米、そして味噌汁 (豆腐とワカメ) を食べた。

アレルギー:2ヶ月前に夕食に牛肉を摂取し、深夜にアナフィラキシーショックとなり、アドレナリン 0.5mgを2回筋注された。1ヶ月前にも昼食で豚肉を摂取し、夜にアナフィラキシーとなった。その他のアレルギーはこれまでになかった。

既往歴:脂質異常症

薬歴:d−クロルフェニラミンマレイン酸塩錠  2mg 1回1錠

嗜好歴:喫煙 なし (never smoker) 飲酒 なし

居住歴:独居 (家族は自宅から2時間のところに居住)。

バイタルサイン:
気道:開通、Stridor聴取せず
呼吸:呼吸回数 22/min, SpO2 92%(室内気)
循環:心拍数 122 bpm, 血圧 80/54 mmHg
意識:GCS 15(E4V5M6)
体温:腋窩温36.6℃

理学所見:
身長 162cm、体重 56kg
頭頸部:口唇の腫脹あり、Stridorは聴取せず
胸部:両肺でwheezesを聴取する
腹部:平坦、軟、心窩部に軽度の圧痛あり、腹膜刺激徴候なし
皮膚:顔面・四肢・体幹部に膨疹あり