2024.01.11

EMA症例151:1月症例 80歳代 女性 主訴:右股関節痛

1月のある祝日の夕方、あなたは都市部市中病院の2次救急病院で診療を行っています。今日も続々と急患が搬送されてきています。スタッフ医師はあなた1名、研修医2名が勤務しています。

そこへ、さらに救急車がもう1台搬入されました。

年齢・性別:80歳代、女性

主訴:右股関節痛

現病歴: 本日の昼間まで特に変わった様子なし。夕方、家族が帰宅した際にトイレの前で転倒しているところを息子に発見され、救急要請。 右股関節に痛みを訴え、体を動かすことが困難だった。転倒時の記憶はあり。

アレルギー:なし

最終経口摂取:昼12時

既往歴:当院呼吸器外科で10年前肺癌術後、慢性心不全 、高血圧症、高脂血症、2型糖尿病、関節リウマチ

薬歴: かかりつけ内科より以下の処方を受けている:

プレドニゾロン1mg 2錠分1 朝食後、アスピリン 100mg 1錠分1朝食後

サクビトリル・バルサルタン(ARNI) 1錠分1 朝食後 、ビソプロロール 2.5mg 1錠分1 朝食後

スピロノラクトン 25mg 1錠分1 朝食後 、エンパグリフロジン(SGLT2阻害薬) 10mg 1錠分1 朝食後

ロスバスタチン 2.5mg 1錠分1 朝食後

生活歴: 息子夫婦との3人暮らし。脳梗塞による左不全麻痺および認知機能低下があり、要介護2。屋内では伝い歩き、屋外では杖を使用して歩行。週2回デイサービスを利用している。

バイタルサイン:

気道:開通

呼吸:呼吸回数 24/min, SpO2 94%(R.A.)

循環:心拍数 98 bpm, 血圧 110/50 mmHg

意識:GCS 13(E3V4M6)JCSⅡ-20

体温:腋窩温 35.6度

理学所見:

General Appearance:少しぐったりした様子

頭頸部:瞳孔 3/3、対光反射 +/+ 打撲痕なし

胸部:呼吸音清、左右差なし 打撲痕なし

腹部:膨満なし、圧痛なし 打撲痕なし

骨盤:恥骨結合の圧痛あり 坐骨結節の圧痛なし 仙腸関節の圧痛なし

四肢:手足末梢冷感なし 右大腿scalpa三角の圧痛あり 股関節の内外旋で疼痛あり 左上下肢の運動障害あり CRT4秒

神経:明らかな神経学的異常所見なし