2023.12.07

EMA症例150:12月症例 75歳 男性 主訴:倦怠感、めまい

12月のある日の14時頃、
あなたは都市部 市中病院の2次救急病院で診療を行っています。
スタッフ医師はあなた1名、一緒に研修医2名が勤務してくれています。
そんな時に1台の救急車が搬入されました。

年齢・性別:75才、男性
主訴:倦怠感、めまい
現病歴:
昨日から全身の脱力感を自覚していた。
倦怠感が強く食事も進まなかった。
就寝までは何とか生活出来ていたが、ついに今朝からは布団から出られずに横になって休んでいた。
11時頃にになって洗面所に行こうと動いた際に、頭がふわふわして気の遠くなるような感じがして動けなくなった。
心配した家族が救急要請を行った。

2ヶ月前に慢性心不全の急性増悪のために他院で3週間の入院を要したが、退院後は元気に生活をしていた。
本人は「薬が増えて大変だ」と話していた。
2週間前に循環器内科 主治医の外来を受診し、定期診察を受けていた。
また今回のイベントの1週間前に腰痛を訴えたために近所の整形外科を受診し、痛み止めの処方を受けていた。

アレルギー:なし
既往歴:
# 急性心筋梗塞 PCI治療歴あり
# 高血圧症
# 2型糖尿病
# 慢性腎不全

薬歴:
 循環器内科より
バイアスピリン 100mg 1錠分1 朝食後
アムロジピン 5mg 2錠分1  朝食後
サクビトリル・バルサルタン(ARNI)  1錠分1 朝食後
ビソプロロール 2.5mg 1錠分1 朝食後
スピロノラクトン 25mg  1錠分1 朝食後
エンパグリフロジン(SGLT2阻害薬) 10mg 1錠分1 朝食後
ロスバスタチン 2.5mg  1錠分1 朝食後

整形外科より
ジクロフェナクナトリウム 25mg 3錠分3 毎食後
ランソプラゾール 15mg  1錠分1 朝食後

バイタルサイン:
気道:開通
呼吸:呼吸回数 14/min, SpO2 93%(R.A.)
循環:心拍数44 bpm, 血圧  75/50mmHg
意識:GCS 14(E3V5M6)
体温:腋窩温 35.6度

理学所見:
General Appearance:ぐったりしている、元気がない
頭頸部:瞳孔 3/3 対光反射 +/+
眼瞼結膜蒼白なし 眼球結膜黄染なし
胸部:呼吸音 清 左右差なし
腹部:膨満なし、圧痛なし
四肢:末梢は冷たい、なんとか鼠径部で脈を触知する
神経:明らかな四肢麻痺は認めない

検査結果:
12誘導心電図:

血液検査:

Point of care ultrasound:
心嚢水なし, Visual EF 55%程度, Asynergy(―), IVC15mm/5mm呼吸性変動(+)