2023.01.18

EMA症例141:1月症例 1歳6か月 男児 主訴:薬物誤飲

新年に入り、寒さが厳しいお正月に貴方は初期研修医2名と共に総合病院の救急外来の日直をしています。院内には外科・内科の当直医がいますが小児科・産婦人科はオンコールの体制となっています。幸い今は救急搬送、Walk inともに落ち着いており急を要する患者はいません。

1歳6か月 男児
主訴:薬物誤飲

現病歴:
お正月になり父方の祖父母の家に帰省していた。父母は外出しており、祖父母が面倒を見ていたが、朝食の準備のために10分ほど目を離してしまった。祖母が準備を終えて本人のところに戻ってくると、口にラムネのような何かを含むところであった。すぐそばには開けられた祖父のピルケースが転がっており、朝食後に飲むはずであった薬が1粒足りないことに気が付いた。何の薬かはわからないが、ひとまず何かあったら大変だと思い救急外来を受診した。この時点で祖母の目撃から30分が経過している。またピルケースごと、薬剤はすべて持参されている。

アレルギー:なし
既往歴:なし
出生発達歴:正期産 特に異常を指摘されたことはない
薬歴:なし
嗜好歴:なし

PAT:
Appearance:母に抱っこされながらニコニコとおもちゃで遊んでいる
Breathing:呼吸促迫なし 陥没呼吸なし 喘鳴なし
Circulation:末梢温か CRT<2sec

バイタルサイン:
気道:開通
呼吸:呼吸回数23/min、SpO2 99%(R.A.)
循環:心拍数105bpm、血圧測定なし
意識:GCS 15(E4V5M6)
体温:腋窩温36.8度
身長/体重:80cm、10kg

理学所見:
頭頸部:口腔内に異物なし 流涎なし 頸部リンパ節腫脹なし 甲状腺腫大圧痛なし
    瞳孔3+/3+ 
胸部:呼吸音清 左右差なし 心音整 雑音なし
腹部:平坦 軟 腸蠕動音生理的 圧痛なし
体表:背部を含めて全身に皮疹なし 明らかな発汗および乾燥なし