2022.05.16

EMA症例133:5月症例 76歳 男性 呼吸苦

暑さと日差しが日に日に強くなってきたある休日、貴方は初期研修医1名と共に日直をしていました。院内には外科当直の医師がいますが、入院患者の処置で忙しそうにしています。そんな中、救急車のホットラインが鳴りました。

76歳 男性
主訴:呼吸苦
現病歴:
庭にできた蜂の巣を自分で駆除していたところ、腕を蜂に刺されてしまった。最初は刺された場所が腫れているのみであったが、30分もしないうちに呼吸が苦しい感覚とふらつきが出現し、立っていられない状態となった。一緒に住んでいる妻により救急要請となった。

アレルギー歴:蜂(全身の皮疹)
既往歴:高血圧
薬歴:ビソプロロール2.5mg 1錠分1、アムロジピン5mg 1錠分1
嗜好歴:喫煙なし 機会飲酒のみ

バイタルサイン:
気道:開通
呼吸:呼吸回数35/min、SpO2 95%(10L)
循環:心拍数120bpm、血圧60/30mmHg
意識:GCS 14(E3V5M6)
体温:腋窩温36.1度

理学所見:
頭頸部:ストライダーなし
    口腔内の腫脹ははっきりしない
胸部:両側肺野に吸気呼気で容易にWheezesを聴取する 明らかな心雑音なしリズム整
腹部:腸蠕動音生理的 圧痛なし
その他:前面から観察できる体表全体に紅斑を認める 中肉中背(170cm、65kg程度)

Point of care testing:
末梢動脈血液ガス分析:
pH 7.35, PCO2 25Torr, PO2 65Torr HCO3 18mmol/L, Lactate 4.2mmol/L, Hb 12.5g/dL, Glucose 120mg/dL, Na 141mmol/L, K 3.8mmol /L, Cl 106mmol /L, Ca++ 1.05mmol/L
12誘導心電図:HR118bpm、基本調律、PQ間隔、QRS幅、ST-T変化なし、
胸部単純レントゲン:心拡大なし 肺野に透過性低下なし

Point of care ultrasound:
心嚢液なし Visual EF 40%程度 Asynergy(―) IVCは完全に虚脱している
FAST:陰性