2021.03.16

EMA症例119:3月症例 65歳男性 意識障害

あなたは救命センターを持たない二次総合病院で救急外来の当直をしている。
この時間帯には、医師はあなた1名のみ、救急外来専従看護師2名の体制となっている。
臨床放射線技師は自宅からの呼び出しにより対応可能で、急性期脳卒中への対応は通常難しい。
いつもはバイタルサインの安定している内因性救急と、軽い外傷がほとんどである。
夜半を過ぎた1時頃、救急隊から1本の電話が入った。

「○○救急隊の救急救命士、△△です。傷病者にあっては65歳男性。意識障害の傷病者の収容依頼と特定行為に関する相談です。自室内でぐったりしているところを家族に発見され救急要請されました。」

救急隊接触時、気道開通・発語あり、JCS 3、GCS E4V3M5。
呼吸数 24回/分、室内気でSpO2 97%。
脈拍数 90回/分・整、血圧 126/70mmHg、冷感はないが全身の発汗著明。
瞳孔は両側4mmで対光反射あり。左下肢に運動麻痺があるようだがはっきりしない。
家族によれば前日の18時頃に未発症を確認されているが、その後は自室に独りで居て発症時刻は不明。

「何らかの既往があって貴院かかりつけのようで、1件目に電話いたしました。」
「収容OKならば病院到着まで30分です。収容が難しい場合でも、血糖測定の実施と特定行為のブドウ糖溶液投与について先生に相談したいのですが、いかがでしょうか。」

カルテを確認してみたところ、以下のような担当医の記載が確認できた。

A) 2型糖尿病
 最近の血糖値は低めに推移。低血糖症状の発症に注意。
P) 処方継続。次回HbA1cの値で処方減量を考慮する。
 ・エクア (ビルダグリプチン 50mg) 2錠 / 2×朝夕
 ・アクトス (ピオグリタゾン 15mg) 1錠 / 1×朝
 ・アマリール (グリメピリド 1mg) 2錠 / 2×朝夕

現場から脳卒中に対応可能な病院への搬送時間はおそらく30分より長い。自身の病院があるメディカルコントロール(MC)圏域の取り決めを思い出しつつ、救急救命士に返答することを決めた。

(以下設問では、回答者ご自身の勤務先施設が含まれるMC圏域ならばどうするかイメージしつつ、ご回答ください。)