EMA Journal Club 第1回 おまけ
ジャーナルの内容
論文を検索していて、ジャーナル内でも色々種類があって悩んだ事は無いだろうか。Editorialとは?Correspondenceとは?そういった知識があるとより論文に対する理解が深まるかもしれない。
今回JCで扱うのは主にOriginal Articleと呼ばれる論文である。Original Articleとは言ってしまえば「俺は○○を使うと××な事を発見したぞ!!」という内容である。従って「それ、ホントなの?」と批判的に吟味を行う必要があり、このOriginal articleの中にはSystematic-Review、RCT、コホート研究、横断研究など色々な研究の種類が存在するため、それら個々に対する論文の読み方を本JCでは行う。
それとは別にジャーナル内には色々な形の投稿がある。Editorial, Letter, Correspondence, Review, Case Report, Progress,等だ。これらは短い情報しかなく、抄読会などでは触れる機会がないため初学者にとって流してしまいがちなところである。しかし、Original Articleが読めるようになってくるとこれらの記事を読むのも面白くなってくるのだ。
・Editorial
Editorialは雑誌の編集者(Editor)が、「何故この論文を掲載したか」について説明したものである。つまり編集者の視点からの論文評価となる。採用したからには良い点を中心に説明しているが、もちろん悪い点も指摘している。そしてこの論文が採用された理由や背景が記載されているためよりOriginal Articleやその分野への理解が深まるであろう。
・Letter
重要な研究結果を報告する論文だが、Article程ワード数は多くない。短くインパクトのあるものが掲載される。主に基礎系雑誌でよく見かける形式である。ノーベル賞を受賞したワトソンとクリックのDNA二重らせんの論文はLetterであった(…らしい)。
・Correspondence(旧Letters to the Editor)
各論文に対して「新たな論点やこの論文の欠点」など、他の研究者から見た「コメント」である。Original Articleが掲載された号の数ヵ月後に掲載される。その中には批判的吟味も含まれており、自分では気付かなかったポイントや新たな知見を得る事があるので、重要論文を読む際にはぜひ目を通したいところだ。ちなみにOriginal Articleを批判する内容のCorrespondenceの場合、批判された論文の著者は簡潔な返答を行う事がある。それらのやりとりも興味深い。
・Review
Original ArticleのSystematic-Reviewとは少し異なる。より総論的で、「深部静脈血栓症について」などいわば「最近のまとめ」である。Narrative Reviewでもありバランスよく記載される事が基本だが、執筆者の意見が入っても構わない(もちろんcontroversialな部分に関しては公平でないといけない)。NEJMやLancetのreviewは非常に有用。
・Case Report
日本の学会でおなじみの「○○が奏効した××の一例」的なもの。文字通りのケースレポートである。新しいアイデアや治療のヒントになるかもしれない。
・Progress
Progressは、現在は成熟していないが、今後発展する可能性のある分野に関するtopicである。
ジャーナルにはこれらだけでなくさらなる情報が詰め込まれているため、ぜひOriginal Articleのみならず色々目を通すようにしてみて欲しい。ただし、これらの読み過ぎで頭ばかり大きくなり臨床の出来ない医師にはならないようくれぐれも気を付けて…。