2019.04.18

第11回 EMA Education Fellowship Course

日本救急医学会におけるER検討委員会は2007年にモデルカリキュラムを公開し、それに基づいたプログラムが日本各地でスタートし、卒業生も多く輩出されています。モデルカリキュラムによってどのような研修を目標にすれば良いのかはある程度わかるようになってきましたが、教える側のための方法や資源は未だ限られたところです。

昨年に続き、EMAではER検討委員会モデルカリキュラム準拠プログラム卒業生、米国ACGME救急研修プログラム卒業生が結集し、日本で「ERで働く救急指導医」育成のためEducation Fellowship Courseを企画しました。

後期研修医後半で色々と教える機会が増えてきた救急医、新しくスタッフになることになったがまだまだ教え方に不安がある救急医、自分なりに教えてきたが一度まとめて振り返りたい救急医、是非お勧めです!以下に詳細な情報があるので御覧ください。

日程・場所


名称
第11回EMA Education Fellowship Course
日程
2019年 6月8日(土)12時~18時 9日(日)9時~16時30分頃まで
場所
東京ベイ・浦安市川医療センター
対象
後期研修医、スタッフ

この2日コースの修了時には…


  1. 新しいプログラム立ち上げのステップを述べることができる
  2. 効果的なベッドサイド・オフザジョブの教育手法を述べることができる
  3. プログラムの実施における注意点を述べることができる

対象


  • 新規にプログラムを立ち上げる救急医
  • 新規にプログラムを立ち上げた救急医
  • 新しくスタッフになる後期研修医
  • 新しくチーフレジデントになる後期研修医

講義予定項目

  1. おもしろいプレゼンは何が違う?
  2. 時間が足りないという言い訳は許されませんよ。?救急外来での教育?
  3. 諸刃の剣。効果的なフィードバックとは?
  4. 双方向評価~研修の何をどう評価するのか?誰が評価する/されるのか?
  5. 医師のバーンアウト・ウェルネス 指導医も燃え尽きないためには
  6. 後期研修医からスタッフへのギャップを埋められる?
  7. 研修医が落ちこぼれたら、どうするか?落ちこぼれない研修環境は、どうつくるか?
  8. 救急医とAcademism
  9. 必勝の施設PR方法ってあるんですか?
  10. 参加者による少講義の実演・録画・フィードバック
  11. 参加者の自施設での教育プロジェクトを小グループに別れてディスカッション

講義詳細

以下に講義詳細がございます。是非御覧ください。

講義名:おもしろいプレゼンは何が違う?(予定)


学習目標
  • プレゼンにあたっての必要最小限ルールを知る
  • パワーポイントを使用するにあたっての注意点を挙げることができる
  • 観衆の引き込み方Good and Badを挙げることができる
概要

我々医療者は物心ついたときから、数多のプレゼンを受けている。
眠気を誘うものから人生が変わる程の内容のものまで、多種多様です。
その差は何なのであろうか?題材?話し方?教材?一概には結論づけられないが、プレゼンとはこれらの要素が絡み合って、その質が決まる。

プレゼンは何も講演だけに用いられる訳ではない。患者との話し合い、学会での発表、会議での上司の説得など、多くの場面で用いられる。これほど頻回に用いられるのに、効果的なプレゼンの講義を受ける機会は少ないのが現状である。

今回は、パワーポイントの効果的な使用法、発言/振る舞いのポイント、観衆をいかに眠らせないか、プレゼンの流れについて皆さんと共有したい。

プレゼンのゴールとは情報伝達ではなく、行動変容である。その一歩となるべくこの講演に参加いただきたい!

講義名:時間が足りないという言い訳は許されませんよ。救急外来での教育?(予定)


学習目標
  • 救急外来での教育の障害を述べることができる
  • 時間のない救急外来での効果的な教育法を身につける
概要

皆さんが今まで受けてきた教育で最も印象深い教育はどんな教育だったでしょうか?
やはり、講義室というよりベッドサイドでの教育が最も印象深かった人が多いのは無理もないことです。
臨床と有機的に結びついた教育ほど、教育を受けるものにとって役立つものはありません。

近年、臨床場面における教育が減って来ており、それには様々な理由があります。しかし、その中で最も多くの医師が口を揃えて言うのが、時間が足りないということ です。とくに救急外来という特殊な環境での教育は他の科と勝手が少々異なるのは事実です。今回は、この救急外来という場面での教育についての障害と方法について実技を交えながら学んでいきましょう!

講義名:諸刃の剣。効果的なフィードバックとは?(予定)


学習目標
  • 医学教育におけるフィードバックの重要性を理解できる
  • 効果的なフィードバックを与えるポイントを述べることができる
  • フィードバックのためのポイントを救急の環境に応用できる
概要

救急外来(ER)において、フィードバックは非常に重要な教育ツールである。
しかし、単に失敗を指摘するだけでは、研修医は同じ失敗を繰り返すこととなり、自尊心を傷つけかねない。
励まし、おだて、時には叱咤することも必要であるが、指導者は研修医によって、態度やフィードバックの方法を柔軟に変えなくてはいけない。

しかし、指導的立場にある医師への、フィードバックに関する教育体制は整っていない。
このコースを通じて、業務が多忙、患者の多様性、シフトワークで時間がとりにくいなど、様々な制約もある中で、効果的にフィードバックを与えるノウハウを伝えたい。

講義名:双方向評価~研修の何をどう評価するのか?誰が評価する/されるのか?(予定)


学習目標
  • 適切な評価をするために必要なものについて述べることができる
  • 研修医→指導医の評価の有用性を理解し、導入を進めることができる
概要

「研修」医である以上ある目的のために研修をうけ、その目的に到達しているのか、もしくは順調に到達に近づいているのか、について評価を受けることは当然であり、言い換えれば「評価のない研修などあり得ない」のである。

そもそも評価をするためには何が必要であろうか。
それは、研修修了時に必要とされる能力およびその評価項目を事前にしっかりと規定し(Outcome Design)、それを評価する方法を確立しておくことである。
本講義では、最近日本でもしばしば引用されるようになった、ACGMEが提示する研修医の6つの到達目標をもとに、より具体的な評価項目および方法を例示し、講師自身の経験も交えて被評価者の成長に結びつくより効果的な評価法を議論する。

一方、日本および医療界という風土のなかで、あまり評価を受けることのなかった指導医も心のどこかで評価を欲してはいないだろうか。
彼らも適切な評価を受けることでさらなる成長をとげることができ、それはすなわち部門、病院の成長につながる。
研修医→指導医の評価についても、研修医を評価する項目や方法と大きく変える必要はない。ただ、一部異なる項目やその扱い等については気を付けなくてはいけない部分があり、本講義ではそれに触れながら双方向評価の有用性について論じる。

講義名:後期研修医からスタッフへのギャップを埋められる?(予定)


学習目標
  • 後期研修医とスタッフの違いが理解できる
  • スタッフの仕事を理解できる
  • スタッフとしての臨床・教育・研究そしてプライベートについて考えることができる
概要

後期研修医という「教わる」立場からスタッフという「教える」立場に変わること、これは年を重ねると、誰もが通る医師人生である。
後期研修医からスタッフに昇格すると、病院内外の多くの仕事が舞い込んでくる。
また新しい仕事場であれば慣れる時間も必要であり、スタッフとしての臨床・教育・研究も同時に必要にある。
そしてER医として病院内だけでなく病院前も目を向けていかないといけない。
その中でプライベートの時間を確保するのは大変である。
このセッションでは、後期研修医からスタッフになったパネラーの方々とスタッフという立場について議論していき、違いやハードルをどのように克服していくか、スタッフに必要なことは何か?を皆さんで情報共有していきたい。

講義名:研修医が落ちこぼれたらどうするか、落ちこぼれない研修環境はどう作るか(予定)


学習目標
  • 研修医のみならず、他職種にも使える「管理者としてのリーダーシップ」
  • 研修管理の核を再確認する
概要
  • Difficult Learnerの事例から、他職種含めたリーダーシップの原則を学ぶ
  • 研修医からの評価事例および研修環境整備変化で、どのように施設内研修状況が改善されるか

講義名:救急医とAcademism(予定)


学習目標
  • 抄読会・ジャーナルクラブの運営上の課題を挙げ、他施設の工夫を取り入れる。またどのように生かすかを考える。
  • 救急医のacademismと他科の診療方針との兼ね合いを理解する。
  • 臨床研究を行っていく上での問題点を考える。
概要

アカデミックな診療が大事とはいえ、日々の忙しい診療の中でそれを維持していくのは難しい。
抄読会やジャーナルクラブが大切なことはわかっていながらも実施できていなかったり、行う事そのものが目的化していたり、継続できなかったりすることが多いのではないだろうか。
救急外来でのアカデミズムは難しく、一生懸命得た知識を用いても時に他科の治療方針とのぶつかり合いになる。
このような場合にどうすればいいのだろうか?そして自分たちでアカデミズムを生み出していくにはどうすればよいのだろうか?

ワークショップ形式でこれらの問題点とそれに対する改善策について議論したい。
どういった問題点にどういった解決策が考えられるのかをワークショップ形式に議論をすることで、多くのヒントを本セッションで共有することを目指す。

一方、日本および医療界という風土のなかで、あまり評価を受けることのなかった指導医も心のどこかで評価を欲してはいないだろうか。
彼らも適切な評価を受けることでさらなる成長をとげることができ、それはすなわち部門、病院の成長につながる。
研修医→指導医の評価についても、研修医を評価する項目や方法と大きく変える必要はない。
ただ、一部異なる項目やその扱い等については気を付けなくてはいけない部分があり、本講義ではそれに触れながら双方向評価の有用性について論じる。

事前準備

ワークショップでの議論の時間を多く取りたい ため、事前に各施設のアカデミズムに関する現在の問題点、また過去の問題点とその改善策などをまとめてきていただきたい。

講義名: 必勝の施設PR方法ってあるんですか?(予定)


学習目標
  • 将来の仲間は近くにいることを知る
  • ブランディングで重要な項目を知る
  • 具体的な方法を参加者と講師で共有する
概要

「症例は十分はあるし、各部門との関係も良好である、なのになぜ当院には後期研修医が集まらないのか?」このような疑問・相談は救急医のための指導医講習会・部門長講習会を行っている我々のもとに毎回寄せられる。 答えは意外とシンプルで正に「敵を知り己を知れば百戦危うからず」ということわざのとおりなのである。

結局、部門のアピールをしていく過程で隠れた金山はない。

  • 自身の部門の方向性を見つけなおして
  • 部門の魅力をはっきりさせる
  • その上で求めたい人物像を定めて
  • ターゲットとする医師層に向けて広告する
  • そしてその効果をしっかりと測る。

このサイクルを繰り返していくことが必要となる。また、見学者や卒業生、同じ病院の同僚が部門の観光大使となって全国で部門のことを広めてくれる。そのため、日々誠実に対応をして彼らとの良好な関係を築くことが遠回りのようで本道である。当日は短い講義のあとにグループワークを行いどのように部門をPRしていくかを考えていただく。