2022.05.17

救急医のリアルな悩み① 〜同僚と同じように働けない…

4月から新生活がスタートし、皆様の職場でも育児休業などから復職される先生がいらっしゃるかと思います。今回は救急医A先生から相談箱に投稿がありました。A先生は子供ができてから勤務時間に制限が生じ、同僚と同じように働けないことに悩んでいました。それに対し、EMA for usメンバーからお返事をしましたが、おそらく同じような感情を抱えている方もいらっしゃるかと思い、A先生にEMAの皆様へのシェアにご快諾いただいたので、回答内容を共有させていただきます。同じような悩みをお持ちの方の力になりましたら幸いです。

<質問>
子供ができてから勤務時間に制限が生じ、同僚と同じように働けず役に立っていないのではと悩んでいます

<回答>
 どんな人でもライフステージは変化していきます。昼間に働いて、戦力の一人になっているだけでA先生は十分役目を果たしています。同僚に対し「夜勤をやってくれてありがとう」という感謝の気持ちを持つことは素晴らしいことですが、「夜勤ができなくて申し訳ない」と過剰に感じる必要はないと思います。もしA先生が辞めてしまったら、もっと他の同僚に負担がかかることは確実です。昼間だけでも働いてくれる人がいることは、皆の勤務負担を軽減していると自信を持ってほしいです。A先生は当直や夜勤ができなくても救急医として貴重な人材であり、その働く姿をみて同じような立場の方が新たに勤務をしてくれる可能性もあります。
また、もしかしたらご自身の理想像に囚われている可能性もあるかもしれません。子供もいなくて日夜バリバリ働いていたあの頃と今のご自身を、無意識に比べてしまったり、すべて完璧にやりたかった過去の自分に若干とらわれているかもしれません。でも、同僚と同じように働けないことは事実ですし、子供を犠牲にできない、これ以上自分を削ることもできないという思う方も多いと思います。
しかし1日はどう頑張っても24時間しかありませんし、その中でできることには体力的・精神的にも限界があります。なので、今やるべきことは何なのか、一時的に優先順位の高いタスクにしぼる、というのも手かもしれません。例えば、#1患者さんにベストな医療を提供する#2自分が心身の健康を損なわない#3子供の生活リズムを自分の都合で崩さない、その中でできる最大限のことをやる、というように考えてみてはいかがでしょうか?その中で、今後も何かしら役に立とうとする態度を職場で示していけば周りの理解も得られやすいのではないでしょうか。
たとえ以前のように働けなくても、ご自身の経験を経て臨床以外の面でかけがえのないものを得ていて、それが例えば他の人よりも小さい子供さんの対応が上手だったり、患者さんやご家族の気持ちがわかったり、という他の人にはない得意分野としていつか強みとなるはずです。

新生活で少し働き方が変わる先生方は新しい勤務スタイルに慣れないことも多いかと思いますが、それぞれに合った形で救急医療に貢献していきましょう!