2020.05.26

awake proningは有効?

Caputo ND et al. Early Self-Proning in Awake, Non-intubated Patients in the Emergency Department: A Single ED's Experience during the COVID-19 Pandemic.
Acad Emerg Med. 2020 Apr 22.[Epub ahead of print]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32320506

awake proningという方法をご存知でしょうか。気管挿管されていない呼吸不全の患者をうつぶせで管理する方法です。
awake proningはARDS患者においてHFNCやNIVとともに行うことで気管挿管を減らし、予後を改善することが示されてきていました。
(Crit Care. 2020 Jan 30;24(1):28.)

しかし、COVID-19+ARDS患者に対してNIVなどを使用することはエアロゾルを発生させてしまうため、感染拡大の恐れがあります。
そのため、早期に挿管することが選択されていましたが、結果として医療資源の枯渇を招くこととなりました。

そこで、HFNCやNIVといったエアロゾルを発生させうるデバイスを使わずにawake proningの効果を試したのが本研究です。

2020年3月1日~4月1日に行われた、ニューヨークの単施設におけるpilot studyです。
受診時SpO2<90%かつ酸素投与によってもSpO2>93%が達成できない18歳以上+自分で体位変換をすることができるCOVID-19患者50人が対象となりました。
SpO2の中央値は80%と低値で(IQR 69-85)、酸素投与をしてもSpO2は84%(IQR 75-90)までにしか改善しませんでした。※HFNCやNIPPVは使用していません 
primary outcomeは5分後のSpO2の変化で、5分間のawake proningによりSpO2を94%(IQR 90-95)まで改善することができました。数値だけみるとすごい効果です。
ただし、50人のうち13人は受診から24時間以内に、72時間までにさらに5人が気管挿管されています。
ランダム化されていないこと、アウトカムとしてにはSpO2が採用されており真のアウトカムではないこと、単一施設での研究であること、5分後にしかSpO2は測定されていないことなどがlimitationとしてあります。

結論は出ませんが、awake proningをERで行うことにより挿管を免れるもしくは延期できる患者が出てくるのかもしれません。
かなり低酸素血症でもおこなわれているのが驚きですが、看護の手は足りているけど挿管する医師の手が足りない緊急時などは少しすがってみたい気がします。