2020.04.24

医療従事者は院内感染より市中で感染しているかもしれない

Ewan H, et al. First experience of COVID-19 screening of health-care workers in England.
Lancet. 2020 Apr 22. [Epub ahead of print]

Lancetより、院内感染に関するイギリスからの興味深い報告です。
1654人のCOVID-19を疑う医療従事者にPCR検査を行い、240例(14%)が陽性となった。
3月10日時点では感染者数も少なかったが、その後、3月24日まで指数関数的に増加した。
3月20日に学校閉鎖を行い、23日からsocial distancingを開始し、24日以降は線形に感染者数が増加した。
医療従事者を、患者と接する程度によって3群に分けた。
(1)患者と対面する職種:医師・看護師など(834人:81%)
(2)患者と対面しないが院内曝露の危険性が高い職種:清掃担当やリネン担当、検査室の職員など(86人:8%)
(3)患者と対面せず、院内曝露の危険性も低い職種:事務担当や管理者、システムエンジニア、秘書など(109人:11%)
結果として、(1)〜(3)の感染者の割合はそれぞれ15%・16%・18%と有意差は見られなかった。

この結果から因果関係を証明するのは困難ですが、「十分な患者隔離と感染防御を行っていれば院内感染は十分に防ぐことができ、むしろ市中感染を懸念するべきである」と筆者は主張しています。