2020.04.24

ニューヨークのCOVID-19患者 5700例の記述研究

Richardson S, et al. Presenting Characteristics, Comorbidities, and Outcomes Among 5700 Patients Hospitalized With COVID-19 in the New York City Area.
JAMA. 2020 Apr 22. [Epub ahead of print]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32320003

ニューヨークにおける、3月1日〜4月4日までのCOVID-19による入院患者データ(鼻咽頭スワブPCRが陽性の症例)の記述研究。
5700人が対象となった。(生存退院:2081人 死亡退院:553人 4月4日時点で入院中:3066人)
・年齢の中央値は63歳(IQR:52-75)
・併存疾患としては高血圧が56.6%、肥満が41.7%、糖尿病が33.8%であった。
・併存疾患のスコアリングであるCharlson Comorbidity Indexの中央値は4点(IQR:2-6)であった。
・トリアージ時点で38℃以上の発熱を有していたのはたったの30.7%、呼吸数が24回を超えていたのは17.3%のみ。
・他の呼吸器感染を引き起こすウイルスとの合併感染は2.1%であった。
・退院患者(生存・死亡問わず)2634人のうち、死亡退院は553人(21%)であった。
・上記の2634人のうち、ICUに入室したのが373人(14.2%)、人工呼吸器を装着したのが320人(12.2%)であった。
・人工呼吸器を受けた320人のうち死亡したのは282人(88.1% !!)であった。
・ACE-IやARBとCOVID-19の病態に関わるのではないかという議論は以前からあるが、高血圧の既往のある患者のうち、ACE-Iを内服している患者の死亡率は32.7%、ARBを内服している患者の死亡率は30.6%、両者とも内服していない患者の死亡率は26.7%であった。

過去の中国からの研究と比較すると、死亡率がやや低いですが、入院の閾値の違いではないかと筆者は考察しています。
また、入院中の患者は打ち切り(censoring)扱いとして、死亡率の母数に含まれていないため、注意が必要ですね。
アメリカ・中国と大規模な記述研究が2つ発表されましたが、おおよそ類似した結果となりました。