2020.04.24

靴底が感染拡大に寄与しているかもしれない

Guo ZD, et al. Aerosol and Surface Distribution of Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 in Hospital Wards, Wuhan, China, 2020. Emerg Infect Dis. 2020 Apr 10;26(7). [Epub ahead of print]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32275497

2月19日から3月2日まで武漢の病院のICUとCOVID-19病棟の各所で、床・パソコンのマウス・ゴミ箱・病床の手すり・患者用マスク・個人用保護具・排気口の空気などからサンプルを取ってRT-PCRを行っています。
その中でも、ICUの床からのサンプリングは7割陽性で、他と比べるとかなり高い割合でした。特に患者が直接出入りしないICU内の薬局エリアでも、床からサンプリングすると100%陽性という結果でした。またICUの医療スタッフの靴底のサンプルの半分は陽性という結果でした。
この事から、靴底が汚染して感染を拡大している可能性が示唆されます。
筆者らはCOVID-19の患者がいる病棟を出る際に、靴底の消毒を行う事を推奨しています。
注意点としてはRT-PCRが陽性であることと感染性があることは別ですので、本当に靴底を介して感染が広がっているかは不明です。(例えばウイルスの死骸が靴底についているだけかもしれない)

私はこの論文を読んで、欧米では靴をはいたまま自宅で生活する傾向にあるので、一気に感染が拡大したのではないかと感じました。個人的には、次亜塩素酸を使用したモップ掛けや、大きめの入れ物に消毒薬をいれて靴を消毒する方法などを検討しています。