2020.04.24

胸骨圧迫中のN95マスクのリーク

Hwang SY, Yoon H, Yoon A, et al. N95 filtering facepiece respirators do not reliably afford respiratory protection during chest compression: A simulation study. Am J Emerg Med. 2020 Jan;38(1):12-17.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30955924

N95をしながら胸骨圧迫する予定はありますか?

特に気管挿管のようなエアロゾル発生手技を行う前後では、そのようなシチュエーションが十分に予想されることと思います。
特に韓国ではSARSやMERSの患者に対するCPRの最中に、医療従事者に感染した事例が報告されています。本論文は韓国発の一風変わった報告です。
N95の装着前には通常のフィットテスト以外に、専用の機器を使ったリークの量的な評価が本来は必要とされています。評価の仕方については、前かがみになったり、顔を横に向けるなどのプロトコールが決められています。
このプロトコールを使って、事前にN95 が完全にフィットしていた群と部分的にフィットしていた群にわけて、人形に対して2分間の胸骨圧迫を3回してもらっています。胸骨圧迫中にリークを量的に専用機器で評価しました。

部分的にフィットしていた群のうち94%がフィットせずにリークしていると判断されました。
完全にフィットしていた群も61%はフィットせずにリークしていると判断されました。

どうやらN95を装着しながら胸骨圧迫をしても、高い確率でリークしてしまうようです。
どうしてもマスクで守りたいならばヘルメットタイプの防護服が必要になりますが、CPR中の会話が困難になってしまいます。

新型コロナウイルス感染症についてもLUCAS®やAutoPulse®などの機械を持っている施設では使用を考慮しても良いのかもしれません。