Harvard Emergency Medicine, MGH / BWH

1. 長谷川耕平 (Kohei Hasegawa)

2. ハーバード救急医学レジデンシー (Harvard Affiliated Emergency Medicine Residency)

マサチューセッツ総合病院、ブリガム&ウィメンズ病院、ボストン小児病院、Mt. Auburn病院
http://www.haemr.org/

3. 所在地:米国、ボストン

4. 救急来院患者数(年):MGH 9万 (小児 9,000)、BWH 6万、Children’s Hospital Boston 5.5万

5. 入院率:それぞれ約25%

6. 研修医数:Total 60名

7. 指導医数:MGH 46名、BWH 45名、CHB 26名

8. 勤務体制:シフト制 8時間から12時間、約19-22シフト / 4週間

9. 研修内容の具体例:
現在、シニアレジデント(3年め研修医)をやっています。北米の救急レジデンシーは3年制の場所が多いのですが、このプログラムはアカデミックに力を入れたいとのことで4年制となっています。レジデンシープログラムは1996年に誕生。オレゴンのような古豪に及ぶべくもないですが、AirwayのRon Walls (ブリガム)や小児救急のFleisher (ボストン小児)など、救急医学をリードする人材もいます。
救急研修は主にブリガムとMGHのアカデミックセンターにて、それぞれ40%ずつの時間を費やします。その他、ボストン小児病院で小児救急に集中し、疾患の多様性を広げるために地域のコミュニティ病院 (Mt. Auburn病院)での研修もあります。研修の場は大学の教育病院が主ですが、ブリガムのこんがらがった移植後/がん患者から、MGH特有のアルコール中毒/ホームレスの宿代わりまで疾患のバラエティには富んでいます。どちらもLevel I Trauma Centerという日本でいう高度救命センターのようなものですが、北米型救急ゆえに一次、二次、三次といった区別はなく、あらゆる患者さんが来院します。
最初の1, 2年めは年の60%ほどを救急外来にて研修し、その他は内科ICU、外傷外科ICU、小児ICU、循環器ステップダウンユニット、外傷外科 (悪名高いCushing Service)、総合内科、整形外科、麻酔科、産科、EMSなどのオフサービスローテションを一ヶ月ずつ行います。3, 4年めのシニアレジデントとなると、80%の時間は救急外来にて指導的立場をとり、その他は中毒センターでの研修、選択期間を使い研究に従事したりという感じです。
最初の一年間は、英語もままならず、システムにも慣れず、友人も少なく(昔から?)、救急唯一の「ガイジン」レジデントということでストレスだらけの日々でした。初回のローテーションの内科病棟では、医学生にも劣って悔しい想いをしました。1年も経つと、はじめは恐怖だった電話をとるのも、深夜のコンサルトに嫌みを言われるのも慣れっこになります。人間どんなことにも慣れる生き物なんですね。毎朝お腹痛くて目が覚めたのも、今となってはいい想い出。

現在はシニアレジデントとして、重症患者を中心に受け持ち、ジュニアレジデントと医学生を教育しながら、さらに救急外来全体をマネージメントしていくことが期待されています。(アテンディングの真似をするという意味で”pretending”とも言います)

10. 研修以外に興味のあること
シミュレーションによる医学教育の勉強、研究を手伝わさせてもらっています。医療安全の観点からも、また医師自身を守るという意味でも、医学教育におけるシミュレーションはそのウェイトを増していくと思います(飛行機パイロットに操縦シミュレーションが必須なように)。それに教育って、舞台のように教える側と教わる側の呼吸があって、奥深く面白いです。

そして僕のライフワークは、EM Allianceの皆さんとともに行う日本救急界の変革と、下記するような救急医療における研究です。その基礎づくりとして、今夏よりハーバード公衆衛生大学院生とレジデントの二足の草鞋を履くことにしました。

11.今後の目標、夢
日本の救急医療は、北米型救急を中心とする第二の黎明期を迎えています。しかし、現状では多くの若手救急医・研修医が「救急医としてのアイデンティティ」に悩んでいるのではないでしょうか。「救急って専門なのか」「サブスペシャリティーがなければ、ただの振り分け科じゃないか」「救急では研究ができないのではないか」と悩んでいませんか。

歴史を振り返れば、いまでこそ北米型救急と言われていますが、40年前の米国救急医も同じ悩みを持っていたのです。しかし彼らは現在、”ER Doc”と市民に親しまれ、他科の同僚からは一目おかれ、もっとも優秀な医学生を集める「専門」科となったのです。

その背景にはドラマ”ER”、EMTALA法の整備、他科との長い戦いの歴史があります。一方で、救急現場発の研究によって、救急医がアカデミックな専門家としての地位を確立したことは明らかな事実です。例えるならば、敗血症治療の歴史を変えたEarly Goal-Directed TherapyのRiversであり、救急医の気道管理の質をデータを持って証明したRon Wallsです。

わが国における救急医学の発展のためには、また、救急医が「専門家集団」としてのアイデンティティを確立するためには、臨床研究に基づくアカデミアの確立が必要だと考えています。その器として、救急医の臨床研究ネットワーク JEMRA (http://www.emalliance.org/wp/jemra)を立ち上げました。JEMRAを通じ、皆さんの手で、未来の日本の救急医学を創っていきましょう。そして世界の救急プラクティスを創っていきましょう!

12. メールアドレス:koheihasegawamd(アットマーク)gmail.com

ブログ:ハーバードER留学記

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